【症例】リンパ球形質細胞性腸炎(LPE)の犬
症例提供:北海道内 動物病院(獣医師)
症例報告: リンパ管拡張を伴うリンパ球形質細胞性腸炎の犬に対し、フアイア糖鎖製剤(TPG-1)の併用によりステロイド減薬と病態の安定化を図った一例
糖鎖製剤(TPG-1)使用概要
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投与量 |
投与期間 |
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2倍量 |
301日間 |
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3倍量 |
56日間〜 |
※犬猫用フアイア製品として
症例基本情報
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品種 |
ミニチュア・ダックスフンド |
| 性別 | 去勢雄 |
| 年齢 | 8歳(2018年5月生まれ) |
| 体重 | 6.5kg(初診時)~ 7.0kg(経過中) |
| 既往歴 | 2020年(他院)時点で軽度の低蛋白血症(TP 4.9 g/dL, Alb 2.8 g/dL)が認められていたが、当時は無症状のため経過観察とされていた |
| 主訴 | 下痢、低タンパク血症 |
症例概要
【診断プロセス】
2025年4月頃、下痢を主訴に来院した。血液検査にてTP 4.2 g/dL、Alb 1.8 g/dL(基準値:TP5.0~7.2 ALB2.6~4.0)と低タンパク血症が認められた。尿検査(UPC)や肝機能検査(TBA)により、腎臓や肝臓に起因する蛋白漏出および産生不全を除外した。その後、内視鏡による消化管バイオプシーを実施し、「リンパ管拡張を伴うリンパ球形質細胞性腸炎」と確定診断した。
治療経過・併用戦略
治療目標を8歳という年齢を考慮した「長期ステロイド投与による副作用の回避」および「減薬・休薬」に設定した。
【治療プロトコル】
- 初期治療(寛解導入期):
食事療法(ユリナリーS/O 低分子プロテイン®️)を継続しつつ、プレドニゾロン 1.0 mg/kg SIDにて治療を開始した。同時にフアイア糖鎖TPG-1(2倍量)の併用を開始した。 - 維持・減量戦略:
一時タンパクの改善を認めた(TP5.0,ALB3.0)ため、ステロイドを休薬、フアイア糖鎖TPG-1のみで維持できるか試したが、1ヵ月後(TP4.8,AIB2.6)2か月後の検査で再度タンパクの低下を認めたため(TP4.1,ALB1.9)ステロイドを再開。その後ステロイドからの脱却を図るため、フアイア糖鎖TPG-1を増量しつつプレドニゾロンを段階的に減量した。 - 追加免疫抑制療法:
経過中に数値が不安定になったため、シクロスポリン(7.6mg/kg/day)を免疫抑制剤として追加導入した。
臨床経過・データ推移
【血液生化学的評価】
Alb(アルブミン): 初期治療により3.0 g/dLまで回復したが、プレドニゾロンを休薬後1.9 g/dLへと低下(リバウンド)した。
安定維持: フアイア糖鎖TPG-1を増量することで、Day99頃にはプレドニゾロン 0.18 mg/kg SIDにてAlb 3.2 g/dLまで再回復した 。Day225にはプレドニゾロンを0.18 mg/kgを4日おきまで減薬することに成功した。
現在: Day281の不安定期(Alb 2.7 g/dL)を経て、現在はプレドニゾロン 0.19mg/kg(2日おき)およびフアイア糖鎖TPG-1(3倍量)、シクロスポリン 7.6mg/kg (SID)にてAlb 2.9 g/dL前後で維持されている。
【身体的評価・QOL】
体重は増減がありながらも、ステロイド・免疫抑制剤を調整しながら、6.6kg前後を維持している。
【主要な経過データ抜粋】
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経過日数 |
体重 (kg) |
Alb (g/dL) |
Pred投与 (mg/kg) |
フアイア糖鎖TPG-1 (倍量) |
備考 |
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1 |
6.6 |
1.8 |
0.75 SID |
- |
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|
8 |
- |
3.0 |
- |
- |
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15 |
6.5 |
2.6 |
- |
2 |
フアイア糖鎖TPG-1開始 |
|
29 |
6.65 |
2.4 |
- |
2 |
|
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57 |
6.95 |
1.9 |
0.35 SID |
2 |
徐々に軟便、 腹部全般高エコー |
|
64 |
6.8 |
2.7 |
0.18 SID |
2 |
|
|
78 |
- |
3.1 |
0.18 SID |
2 |
|
|
99 |
- |
3.2 |
0.18 SID |
2 |
内視鏡検査実施 |
|
106 |
7.1 |
- |
0.18 EOD |
2 |
|
|
134 |
- |
3.3 |
0.18 EOD |
2 |
|
|
162 |
7 |
3.1 |
0.18 (3日おき) |
2 |
|
|
184 |
- |
2.8 |
0.18 (3日おき) |
2 |
|
|
225 |
- |
2.8 |
0.18 (4日おき) |
2 |
|
|
247 |
7 |
3.0 |
0.18 (4日おき) |
2 |
|
|
281 |
6.9 |
2.7 |
0.18 (4日おき) |
2 |
|
|
316 |
6.9 |
2.4 |
0.18 EOD |
3 |
フアイア糖鎖TPG-1 3倍量に |
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323 |
- |
2.4 |
0.7 SID |
3 |
|
|
331 |
6.75 |
3.2 |
0.37 SID |
3 |
|
|
344 |
- |
3.3 |
0.19 SID |
3 |
シクロスポリン開始 |
|
358 |
- |
3.2 |
0.19 EOD |
3 |
|
|
372 |
6.6 |
2.9 |
0.19(2日おき) |
3 |
|
|
386 |
- |
2.7 |
0.19(3日おき) |
3 |
【主要データ・グラフ】

考察
本症例は、ステロイドの終生投与が必要と思われる症例に対し、標準治療とフアイア糖鎖TPG-1を併用することでステロイドの最小化を実現した一例である 。通常、ステロイドの投与間隔を3日おき以上に延長すると再燃リスクが高まるが、本症例ではフアイア糖鎖TPG-1を併用することにより、低用量のステロイドおよびシクロスポリン下での良好な経過が示唆された。
フアイア糖鎖TPG-1が持つ免疫調整作用が、ステロイド減量時における病態の底上げに寄与した可能性が示唆される。既存の免疫抑制剤と比較して副作用のコントロールができており、飼い主様の心理的ハードルを下げられる点は大きなメリットであることが示唆された一例である。