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【症例】原発性ITPの日本テリア

症例提供:東京都内 動物病院(獣医師)

原発性ITPの症例に対して、フアイア糖鎖TPG-1を併用することで、単独で一度血小板数が回復し、その後長期寛解維持に成功した一例

 

糖鎖製剤TPG-1)使用概要


投与量

投与期間

1倍量

490日

2倍量

120日

3倍量

77日

4倍量

7日(継続中)

※犬猫用フアイア製品として

症例基本情報

  • 品種: 日本テリア
  • 性別: 避妊雌 
  • 生年月日: 2013年4月19日(初診時10歳)
  • 初診日:2023年12月2日(Day1)
  • 診断: 原発性免疫介在性血小板減少症

(Primary Immune-Mediated Thrombocytopenia: pITP)


症例概要

    階段で転倒した後の頬部の腫れを主訴に来院。診察時、飼主様が想定していなかった紫斑や口腔内(歯)への血液付着など、重度の出血傾向が偶然確認された。基礎疾患、薬剤歴、感染症等の除外診断を経た結果、原発性ITPと診断した。初期治療としてプレドニゾロンとシクロスポリンによる免疫抑制療法を開始し、良好な寛解導入が得られた。

    治療経過・併用戦略

      本症例の治療経過は、初期の寛解導入、TPG-1導入によるステロイド減薬・休薬期、そして休薬後の血小板低下や再燃に対するTPG-1増量による病態コントロールの3フェーズに大別される。

      Phase 1: 急性期および初期寛解導入 

      • Day 1: 重度の血小板減少(PLT 0 /μL)(RI: 14.8–48.4 × 10⁴/μL)を確認。原発性ITPと診断し、プレドニゾロン(2.03 mg/kg SID)およびシクロスポリン(8.5 mg/kg SID)による免疫抑制療法を開始した。
      • Day 7: PLT 37.7万/μLまで速やかに回復し、良好な初期反応を示した。

      Phase 2: 病態維持を目的としフアイア糖鎖TPG-1導入、ステロイド減薬

      • Day 93~: 経過は安定していたが(PLT 31.9万/μL)、ステロイドの減薬を進めるにあたり、長期的な免疫維持を目的としてフアイア糖鎖TPG-1(1倍量)の併用を開始した。
      • その後、プレドニゾロンおよびシクロスポリンを漸減、Day175よりステロイドの休薬を行った。

      Phase 3: 血小板低下に対するTPG-1の用量調整と再発管理

      • Day 498〜589: 免疫抑制剤の完全休薬後、PLTが徐々に低下する傾向(Day 498: 18.2万/μL → Day 589: 14.0万/μL)が認められた。

      • 介入と経過①: この緩徐な低下傾向に対し、免疫抑制剤を再開せずフアイア糖鎖TPG-1を2倍量へ増量するアプローチをとった。結果として次回の検査(Day 617)ではPLT 27.2万/μLへとベースラインへの回復が認められた。

      • 介入と経過②: その後、Day 709にPLT 19.8万/μLとなりフアイア糖鎖TPG-1を3倍量へ増量したが、Day 786にpITPの明確な再燃(PLT 5.1万/μL)が認められた。これに対し、プレドニゾロン(1.72 mg/kg SID)を再開するとともに、TPG-1をさらに4倍量へ増量した。結果として、約1ヶ月後(Day 828)にはPLT 35.2万/μLへと治療に反応し、コントロールされている。

      臨床経過・データ推移

      経過日数

      日付

      体重 (kg)

      PLT (×10^4/μL)

      プレドニゾロン

      投与

      備考

      Day 1

      23.12.02

      5.9

      0.0

      2.03 mg/kg SID

      治療開始。プレドニゾロン、シクロスポリン開始。

      Day 7

      23.12.08

      -

      37.7

      2.03 mg/kg SID

      血小板数回復

      Day 22

      23.12.23

      5.7

      33.5

      2.11 mg/kg

      3回投与1日休

      安定維持。

      Day 42

      24.01.12

      6.1

      34.7

      1.97 mg/kg/

      EOD

      安定。

      Day 64

      24.02.02

      5.8

      30.4

      2.07 mg/kg

      TOD

      安定。減薬検討期。

      Day 92

      24.03.01

      6.18

      31.9

      1.94 mg/kg

      QOD

      Day93よりフアイア糖鎖TPG-1(1倍量)にて開始。

      Day 120

      24.03.29

      6.1

      29.3

      0.98 mg/kg/回 (QOD)

      安定維持。

      Day 148

      24.04.26

      6.3

      26.1

      0.47 mg/kg/回 (QOD)

      安定維持。Day175よりステロイド休薬

      Day 239

      24.07.26

      -

      34.5

      -

      休薬下で非常に良好。

      Day 323

      24.10.18

      -

      26.6

      -

      休薬のまま安定推移。

      Day 498

      25.04.04

      -

      18.2

      -

      血小板の低下傾向が見られ始める。

      Day 589

      25.07.04

      -

      14.0

      -

      血小板のさらなる低下傾向。フアイア糖鎖TPG-1を2倍量へ増量。

      Day 617

      25.08.01

      -

      27.2

      -

      フアイア糖鎖TPG-1の増量のみで血小板数の回復を確認

      Day 709

      25.11.01

      -

      19.8

      -

      再び血小板数の減少が認められたため、フアイア糖鎖TPG-1、3倍量へ増量

      Day 786

      26.01.17

      5.8

      5.1

      1.72mg/kg

      SID

      再燃を認めたためステロイド再開、フアイア糖鎖TPG-1を4倍量に増量

      Day793

      26.01.24

      5.6

      17.7

      継続

      血小板数回復傾向

      Day828

      26.02.28

      -

      35.2

      EOD

      ステロイド用量を減らし、シクロスポリン(25mg/head BID)併用中

       

      【推移グラフ】

      メルマガ-260408_mail260408-02

       

      ▼414病日以降の経過

      メルマガ-260408_mail260408-03

      考察

      本症例では、フアイア糖鎖TPG-1の併用により、ITPに対する免疫調節作用が示唆された。ステロイドを含む免疫抑制薬の完全休薬後、Day 589に緩徐な血小板数の低下が認められた。しかし、免疫抑制薬を再開することなく、フアイア糖鎖TPG-1の給与量を増量したのみで、1か月後のDay 617には血小板数が27.2万/μLまで回復した。この経過から、本製剤の免疫調節作用が増量後に発揮された可能性が示唆された。

      また、フアイア糖鎖TPG-1を3倍量で給与していた期間中に明らかな再燃が一度認められたものの、血小板数は5.1万/μLであり、偶発的に検出された。このことから、フアイア糖鎖TPG-1が再燃時の重症度を軽減した可能性も示唆された。

      一般に、血液免疫疾患におけるフアイア糖鎖TPG-1単独の有効性を証明するには、前向き研究による検証が必要である。しかし、本症例では再燃への移行期において、免疫抑制薬を再開することなく、本製剤の増量のみで血小板数の回復が認められた点は非常に興味深い。

      結論として、本症例ではフアイア糖鎖TPG-1の併用により、ITPに対する免疫調節作用が示唆された。本製剤は、ITPに対する新たな補助的な治療選択肢となる可能性がある。