【症例】エバンス症候群と膜性腎症
症例提供:深野百合子先生(ALTs動物病院)
エバンス症候群と膜性腎症の高齢犬にフアイア抽出「糖鎖TPG-1」を与えた一例
タンパク尿、血球減少といった免疫疾患および被毛脱毛へも対処できた事例
症例について
症例はウェルシュ・コーギー、去勢済みオス13歳です。基礎疾患として右副腎腫瘍(非機能性と判断)、免疫介在性溶血性貧血および血小板減少(エバンス症候群)、膜性腎症疑い、肝臓外側左葉に結節がありました。2021年12月、大腿内側の紫斑を主訴に来院。血小板数は2.9(万/μl)であり自己凝集が認められました。PCV値も34%と低下し、免疫介在性の溶血性貧血および血小板減少を疑いプレドニゾロンによる治療を行いました。ダナゾール、シクロスポリンおよびプレドニゾロンにて治療し、2022年9月時点では、PCV値は39.2%で血小板数41.4(万/μl)でした。
経過と結果
2022年5月、腎数値の軽度な上昇(BUN 34、Cre 0.9、SDMA16)を認めました。2022/6/28、BUN 28、Cre0.9、SDMA 25、UPC>8.14また尿検査でも尿蛋白+++であったことから膜性腎症(免疫介在性の糸球体腎炎)を疑い、尿蛋白漏出抑制のためエナラプリルマレイン酸塩、テルミサルタンなど順に使用し治療を行っていました。
加えて、エバンス症候群への作用および基礎疾患として存在していた右副腎腫瘍の縮小にも期待し、フアイア糖鎖TPG-1の使用を開始しました。フアイア糖鎖TPG-1は2倍量にて、2022/7/26から2週間使用しました。以降は通常量の使用を継続し、2022/8/17に行った血液検査にてBUN 24、Cre 0.9、SDMA 14、UPC>4.8と落ち着きました。また、プレドニゾロン投与の影響で春頃にサマーカットを行って以来、毛が伸びなかった腹部にて発毛を認め、フアイア糖鎖TPG-1使用開始から1ヶ月半程で生えそろいました。下痢、軟便、食欲不振といった有害事象は一切みられませんでした。

2022/12/21健診にて、腹部の毛に異常は無く、また肝臓の腫瘤および副腎腫瘤ともに変化は認められませんでした。PCV値は34.9%で血小板数は72.5(万/μl)でした。フアイア糖鎖TPG-1の他に、基礎疾患の治療も含め、右記の薬を使用しています。
タナゾール、シクロスポリン、グリチルリチン酸一アンモニウム・グリシン・DL-メチオニン配合錠、ウルソデオキシコール酸、チオプロ二ン、タウリン、球形吸着炭細粒、テルミサルタン10月22日に以前より確認されていた脾臓の結節部分が26㎜と急に増大してきたため、脾臓摘出術を実施しました。病理検査結果は結節性過形成、髄外造血であり、摘出により予後良好と考えます。
考察と感想
免疫介在性の血球減少、膜性腎症および副腎腫瘍を抱える犬に使用したところ、腎数値、SDMAおよびタンパク尿の改善を認めました。また、サマーカットをして以来、毛が生えなかった腹部で徐々に発毛を認め、1ヶ月半程で生え揃いました。特に治療は変更しておらずフアイア糖鎖TPG-1の追加のみで発毛したため、驚きました。