【症例】慢性肝炎のトイプードル
症例提供:兵庫県内 動物病院(獣医師)
ステロイド投与等の標準治療ではコントロールが困難であり慢性肝炎および犬ジステンパー疑いの症例に対し、糖鎖製剤(TPG-1)を2倍量で併用してQOLが向上した症例
糖鎖製剤(TPG-1)使用概要
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投与量 |
投与期間 |
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2倍量 |
約180日間 |
※犬猫用フアイア製品として
症例基本情報
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品種 |
トイプードル |
| 生年月日/性別 | 2013年7月7日生まれ/避妊雌 |
| 初診日 | 2024年7月27日 |
| 主訴 | 最近食欲が安定しない |
| 既往歴/背景 | 元ブリーダー所有犬であり、2016年と2017年に出産経験がある。 過去に右前肢を骨折しておりピンが設置されている。 2018年(5歳時)に現在の飼い主様に保護されてからは、 予防医療のみ(2回の歯石除去) ワクチン・ノミ・マダニ・フィラリア 予防済 |
症例概要
【検査・診断】
初診時の初期検査では肝酵素の上昇は認められなかったが、入院後に総胆汁酸(100以上)、ALP(2300)、GPT(800超)の上昇が認められた。
その後、FDPおよびDダイマーなどの中程度上昇が見られ、DICの状態が示唆された。
翌年春には、CRPの著しい上昇(20以上)や40度を超える高熱を繰り返し、呼吸促迫から気管虚脱も判明した。
難治性の発熱、注射痕の化膿傾向、激しい眼脂といった臨床症状から犬ジステンパー感染の可能性も示唆された。
【課題の特定】
プレドニゾロン等の標準治療を行っていても、発熱やDICをコントロールしきれず、短期間での入退院、輸血を繰り返す危機的な状況にあった。
病状の悪化から飼い主が安楽死を検討するほど重篤であり、QOLの改善とステロイドの休薬が必要な状況下であった。
治療経過・併用戦略
治療目標を8歳という年齢を考慮した「長期ステロイド投与による副作用の回避」および「減薬・休薬」に設定した。
【治療プロトコル】
導入期:
肝酵素の急上昇が認められた後、プレドニゾロン(1mg/day)の投与を開始し、退院後1週間は1mgを継続、その後0.5mg/dayへ減量した。一時期0.3mg/dayまで減薬を試みたが、数値が悪化したため0.5mg/dayでの維持に戻した。
DIC疑いや高熱時には、輸血やウリナスタチン等を用いた救命処置を実施した。
フアイア糖鎖TPG-1の検討:
何度も不明熱を繰り返していたため、免疫に何らかの異常があるのではないかと考え、フアイア糖鎖TPG-1を追加した。
維持法:
Day304より、フアイア糖鎖TPG-1を通常の2倍量で導入した。ジステンパーも疑っていたために、抗体検査を実施。結果は否定的ではあったが、症状から完全に除外をせずに抗生物質および抗真菌剤(イトラコナゾール)を併用し、プレドニゾロンは0.5mg/dayで維持を行った。
臨床経過・データ推移
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経過時期 |
フアイア糖鎖TPG-1 |
プレドニゾロン等 |
CRP |
FDP (RI:0~5) |
Dダイマー (RI:0~2) |
ALT(GPT) (RI:17-78) |
備考/状態 |
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Day 0 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
初診。 |
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Day 9 |
- |
1mg/dayで開始 → 0.5mg/day |
0.1 |
3.5 |
2.87 |
181(数日後840) |
検査入院。 |
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Day 71 |
- |
0.5mg/day |
>20 |
13.1 |
8.55 |
>1000 |
DIC疑い。 |
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Day 269 |
- |
- |
16 |
7.1 |
2.26 |
90 |
39.9℃の熱発、気管虚脱判明。 |
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Day 288 |
- |
- |
15 |
3.7 |
1.08 |
394 |
難治性の不明熱。注射痕化膿。安楽死も検討された。 PHA 40倍 IgM <25倍 IgG 25倍 より |
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Day 304 |
2 |
0.5mg/day |
1.55 |
3.6 |
1.0 |
37 |
TPG-1 2倍量開始。抗生物質・抗真菌剤併用。 |
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Day 412 |
2 |
0.5mg/day |
1.9 |
11.7 |
2.3 |
371 |
Day412~418 |
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Day 471 |
2 |
0.5mg/day |
>20 |
- |
- |
643 |
劇症型肝炎を発症。永眠。 |
【変化の要約】
フアイア糖鎖TPG-1導入前は、高熱やDIC疑いによる危機的状況で短期間での入退院を繰り返していたが、導入直後から繰り返す高熱が落ち着いた。亡くなるまでの約半年間、入院を必要とすることはあったが、自宅で家族と穏やかな時間を過ごすことができた。
考察
治療のポイント:プレドニゾロン等による免疫抑制や、単に「免疫を高める」サプリメントでは病勢をコントロールしきれなかった免疫が異常と思われる状況下に対し、フアイア糖鎖TPG-1による「免疫のバランスを真ん中に調える」アプローチが作用した可能性が示唆される。
併用による相乗効果:プレドニゾロンを低用量(0.5mg/day)で維持しながら、フアイア糖鎖TPG-1を2倍量で併用し、抗真菌薬等と組み合わせることで、DICや再発を食い止められた可能性が示唆される。
結語
最終的には疾患により永眠したが、獣医師と飼い主の強い信頼関係のもと、諦めずに最善のアプローチを模索したことで、家族としてのより良い時間を創出できたと考えられる。難治性の免疫異常が示唆される、あるいはコントロールが難しい慢性疾患において、フアイア糖鎖TPG-1の免疫調整機能が、動物と飼い主様に穏やかでかけがえのない時間を提供し得ることを示す症例であると示唆される。