【症例】慢性腸症のトイプードル
症例提供:秋吉亮人先生(アキヨシアニマルクリニック)
フアイア糖鎖TPG-1の併用によりステロイドからの完全離脱に成功した犬の免疫抑制剤反応性腸症(IRE)の一症例報告
症例について:免疫抑制剤反応性腸症(IRE)と診断
症例は9 歳齢のトイ・プードルの避妊メス。主訴は6 週間以上続く食欲低下、散発性の嘔吐、下痢であり、セカンドオピニオンとして来院。過去に散発性胃腸炎やアレルギー性皮膚炎の疑いがあり、その都度制吐剤や下痢止めなどの対症療法が行われていました。診察により、血液検査でALT、ALP などの肝酵素上昇が認められ、超音波検査で十二指腸に腸壁の肥厚、粘膜の高エコー、軽度の腹水が認められました。
アレルギー検査や腸バイオプシー検査を実施したところ、これらの食事が症状の原因ではないことが判明しました。内視鏡検査の結果、十二指腸空腸部におけるリンパ球形質細胞性腸炎が認められ、そのため免疫抑制剤反応性腸症(IRE)と診断しました。
経過と結果:投与開始後に数値は安定
初期の治療として除去食を継続しながらプレドニゾロンを1mg/kg/day の量で開始、元々肝酵素上昇があることから、ウルソも開始しました。その結果、CIBDAI およびCCEAI のスコアが顕著な下降を示しましたが、ステロイドの減量に伴い再発する状況が確認されステロイドの減量休薬が非常に難しい状態でした。
シクロスポリン等の免疫抑制剤の投薬を試みるも、無理に投薬すると嘔吐してしまうため使用できませんでした。

第320 病日より、ステロイドに代わる治療法の検証として、フアイア糖鎖TPG-1 の連続投与を開始しました。フアイア糖鎖TPG-1 に関しては投薬によるストレスや嘔吐も認められず、継続が可能でした。
第350 病日にステロイド投与が原因と見られる糖尿病を発症。プレドニゾロンを減量する必要があり、フアイア糖鎖TPG-1 を継続しながら減薬を試みたところ、CIBDAI、CCEAI ともに一時的に上昇したもののスコアは下降しQOL を維持。フアイア糖鎖TPG-1の連続投与によりステロイドの減量が可能となり、最終的には全面的な移行が成功しました。
しかし、結果的に症状とは関係ない気胸を発症し死亡しました。
治療薬と併用薬
| 第320病日 | フアイア糖鎖TPG-1 を2倍量で開始 プレドニゾロンとの併用 |
| 第470病日 | フアイア糖鎖TPG-1 を3倍量に変更 プレドニゾロンを休薬 |
考察と感想:IREの新たな治療薬になる可能性を示唆
本症例は免症抑制剤反応性腸症(IRE)においてステロイド治療に反応しましたが、減量が難しい状態でした。しかしフアイア糖鎖TPG-1 の併用により、ステロイドからの離脱が可能となりました。フアイア糖鎖TPG-1 が免疫抑制剤反応性腸症の新たな治療薬になる可能性を示唆し、今後さらなる症例データの蓄積が期待されます。
秋吉亮人先生
アキヨシアニマルクリニック院長
日本獣医がん学会 獣医腫瘍科認定Ⅰ種
獣医師・獣医学博士