【症例】アトピー性皮膚炎、食物アレルギーの柴犬
症例提供:福岡県内 動物病院(獣医師)
症例報告: 難治性犬アトピー性皮膚炎および食物アレルギーに対し、糖鎖製剤(TPG-1)を用いてシクロスポリンとステロイドの休薬に至った一例
糖鎖製剤(TPG-1)使用概要
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投与量 |
投与期間 |
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2倍量 |
54日間 |
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1倍量 |
360日間〜 |
※犬猫用フアイア製品として
症例基本情報
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品種 |
柴犬 |
| 性別 | 去勢雄 |
| 年齢 | 5歳(2021年2月生まれ) |
| 体重 | 8.3kg |
| 初診日 | 2024年2月1日 |
| 主訴 | 肢間および肛門周囲の慢性的な発赤・強い掻痒、顔周りの自傷行為を伴う掻痒 |
| 既往歴 | 0歳時より前肢間を舐めている。2歳6ヶ月頃に食物アレルギーを疑った。若齢時に肝酵素の上昇あり。 ノミ/マダニ予防済 |
症例概要
【検査・診断】
Day 1に強い痒みを呈していたことからプレドニゾロンを開始した後、Day 34にアレルギー検査のための採血を実施した。
犬アレルゲン特異的IgE検査:
ハウスダストマイト由来の主要アレルゲン「Der f 2」特異的IgEが 69 ng/ml(50 ng/ml以上が陽性基準)と高く、「感作された可能性がある」ことが確認された。
リンパ球反応検査:
トウモロコシ(0.6%)、鶏肉(0.4%)、卵黄(0.4%)、七面鳥(0.4%)、アヒル(0.4%)に対して低度ながら陽性反応が認められた。
上記の結果、臨床症状から、犬アトピー性皮膚炎(CAD)および食物アレルギー(AFR)の併発と診断した。
【課題の特定】
標準治療としてプレドニゾロンとシクロスポリン(免疫抑制剤)を用いた治療を開始したが、長期化に伴い以下の副作用や課題が出てきた。
副作用の発生:
シクロスポリンの投与によって、動物自身の「包皮炎の悪化」や軟便などのリスクがあった。また「全身が夏毛のようになる」という被毛への影響も認められた。
休薬による再燃と経済的負担:
薬を休むと趾間や肛門周囲の症状が再燃するとともに症例維持が困難だった。
コンプライアンスの低下:
副作用への懸念や負担から、飼い主様の投薬を続けていただくことが難しい状況に陥っていた。
治療経過・併用戦略
導入期(標準的免疫抑制療法):
第1病日にプレドニゾロン 5 mg/head (SID:1日1回)の7日間の処方とヒビクス® 軟膏の投与を開始した。アレルギー検査後症状が小康状態であったが、第177病日に症状が悪化してきたため、プレドニゾロン 5 mg/head (SID:1日1回)の投与を開始。Day 182に症状が悪化したため、シクロスポリン 50 mg/head (SID:約6 mg/kg)と抗生剤(セファレキシン 約18 mg/kg BID)を追加し標準的な治療を進めた。
なお食事の変更については、諸事情により変更が難しかった。
調整期(減薬の試みと再燃):
Day245に症状の改善に伴い、段階的にプレドニゾロンおよびシクロスポリンを「3日に1回」まで減量することに成功。しかし、第273病日に症状が再燃し、プレドニゾロンを「2日に1回」に増量した。その後も包皮炎の悪化など副作用に悩まされ、Day401に飼い主様の自己判断での休薬・症状再燃が発生した。
維持期(免疫調整と脱薬の実現):
免疫抑制と副作用のジレンマに限界を感じたDay401に、フアイア糖鎖TPG-1を2倍量で、免疫の維持サポートとして給与を開始した。
臨床経過・データ推移
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病日 |
フアイア糖鎖 |
プレドニゾロン |
シクロスポリン |
セファレキシン |
皮膚・被毛・ |
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1 |
- |
5 (SID) |
- |
- |
趾間、肛門周囲に発赤、掻痒あり (ステロイドは検査のため1wのみ処方) |
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28 |
- |
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- |
- |
ヒビクス®軟膏処方 |
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34 |
- |
- |
- |
- |
アレルギー検査実施 臀部の痒みが認められているため外用薬使用を指示 |
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37 |
- |
- |
- |
- |
臀部の痒みが認められているため再び外用薬使用を指示 |
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177 |
- |
5 (SID) |
- |
- |
肛門周囲・前肢趾間に炎症、強い痒みあり。 |
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182 |
- |
10 (SID) |
50 (SID) |
18 (BID) |
前肢趾間の発赤と痒みが悪化。 |
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189 |
- |
5 (EOD) |
50 (SID) |
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痒みは半分程度に減少。 |
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203 |
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5 (3日に1回) |
50 (SID) |
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痒み2〜3割。 右前肢趾間舐める、肛門周囲の発赤軽減。 |
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217 |
- |
5 (3日に1回) |
50 (EOD) |
- |
痒みの悪化なし。 |
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245 |
- |
5 (3日に1回) |
50 (3日に1回) |
- |
痒み1割程度に減少。限界まで減薬を達成。 |
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273 |
- |
5 (EOD) |
50 (3日に1回) |
- |
【再燃・副作用】 全身が夏毛のようになる。 趾間発赤・痒み悪化、肛門ただれ。 |
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301 |
- |
5 (EOD) |
50 (3日に1回) |
- |
趾間舐めるが改善、肛門周囲のただれ消失。 |
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329 |
- |
5 (3日に1回に減量) |
50 (3日に1回) |
- |
食事変更試みる。趾間の発赤は都度。 |
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373 |
- |
5 (3日に1回) |
50 (3日に1回) |
- |
前肢端背側を舐める。趾間発赤目立つ。 |
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401 |
2 |
- |
- |
- |
【転換期】 包皮炎悪化により休薬。 発赤・痒み再燃。 |
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436 |
2 |
- |
- |
- |
痒みが完全消失。全身の被毛密度増加。 趾間・肛門周囲の発赤消失。 |
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455 |
1 |
- |
- |
- |
良好な状態が安定。 |
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819 |
1 |
- |
- |
- |
フアイア糖鎖TPG-1 1倍量で継続中 |
【変化の要約】
フアイア糖鎖TPG-1導入から35日後(Day436)には、他の投薬を一切行っていないにもかかわらず痒みが消失した。懸念されていた包皮炎の悪化という副作用も解消され、趾間・肛門周囲の発赤が消失するとともに、全身の被毛の状態が良好に維持されたというQOLの改善が報告された。
考察
治療のポイント:
本症例は、環境アレルゲン(Der f 2:69 ng/ml)に対して感作状態にありながら、プレドニゾロンとシクロスポリンを休薬し、フアイア糖鎖TPG-1単独で1年以上にわたり症状の維持ができた事例である。免疫抑制から、フアイア糖鎖TPG-1による免疫調整が良好な被毛のサポートをもたらしたことが示唆される。
併用による相乗効果:
フアイア糖鎖TPG-1は、アトピー性皮膚炎で過剰となるTh2反応を抑制し、Th1/Th2の免疫バランスを正常化するとともに、制御性T細胞(Treg)を活性化させる機序が示唆されている。この免疫調整作用が良好な病態の維持に寄与したと推察される。
難治性のアトピー性皮膚炎において、強い薬物療法に限界や副作用の不安を感じているご家族にとって、フアイア糖鎖TPG-1が今後の一次診療の現場で選択肢となる可能性が示唆される。