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【論文】肝細胞癌に対するフアイア抽出物のJAK2/STAT3経路抑制による完全奏効と併用療法の可能性

進行性肝細胞癌に対しDEB-TACEとフアイア抽出物の併用が完全奏効および長期生存をもたらした症例報告である。

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対象論文

 

項目

内容

和訳タイトル

薬剤溶出ビーズ肝動脈化学塞栓療法(DEB-TACE)とフアイア顆粒の併用による、肉眼的血管侵襲および肺転移を伴う肝細胞癌の完全奏効:症例報告

英題

Complete Response of Hepatocellular Carcinoma with Macroscopic Vascular Invasion and Pulmonary Metastasis to the Combination of Drug-Eluting Beads Transarterial Chemoembolization and Huaier Granule: A Case Report

発表年

2021年

筆頭著者

Tan-Yang Zhou

責任著者

Jun-Hui Sun

発表学術誌

OncoTargets and Therapy(がんの病理学的基礎や治療プロトコルを専門に扱う国際的な査読付きオープンアクセスジャーナル)

DOI

https://doi.org/10.2147/OTT.S309660

 

研究の信頼性チェック(PICO)

     

    項目

    内容

    P (Patient/Problem)

    10年来のB型肝炎ウイルス誘発性肝硬変を背景に持つ、右腎静脈および下大静脈への肉眼的血管侵襲(RV-IVCTT)および多発性肺転移を伴う進行性肝細胞癌の64歳男性患者(BCLCステージC、ECOG PS: 0、治療前AFP: 8165.8 ng/mL)。

    I (Intervention)

    薬剤溶出ビーズ(CalliSpheres® microsphere、ドキソルビシン担持)を用いたオンデマンドの肝動脈化学塞栓療法(DEB-TACE)を計3サイクル実施、およびフアイア抽出物(Huaier)20gを1日3回、毎日経口投与。

    C (Comparison)

    なし(症例報告のため対照群は非設定。ただし、ガイドライン推奨のマルチキナーゼ阻害薬ソラフェニブ単独療法が比較対象として議論されている)。

    O (Outcome)

    mRECIST基準に基づく腫瘍縮小効果(肝内病変、血管腫瘍栓、肺転移巣の評価)、血清AFP値の推移、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)。

     

     

    試験デザインとサンプル数

     

    項目

    内容

    研究デザイン

    単一症例報告(Case Report)であり、介入治療後の経過を長期にわたり追跡した臨床記述研究

    サンプルサイズ

    N = 1(64歳の人間男性患者、単一治療群)。

    研究期間

    2016年9月9日(初期治療開始)から2021年までの54ヶ月間(最終フォローアップ時点)。

    統計解析

    症例報告のため、P値や信頼区間などの推計統計学的解析は行われていない。

     

    結果の詳細

    【治療介入前の臨床病態および画像診断所見】

    Zhouら(2021年)の研究チームがOncoTargets and Therapyで発表した検証によると、症例は10年来のB型肝炎ウイルス関連肝硬変を有する64歳男性である。腹部超音波検査および造影CTにおいて、肝右葉(Segment V)に3.5 cm × 1.0 cmの腫瘤、さらに右腎静脈から下大静脈にかけて3.7 cm × 1.9 cmの血管内腫瘍栓が確認された。

    さらに胸部CT検査によって両肺野に多発性の結節影が認められ、肺転移を伴う進行性肝細胞癌(BCLCステージC)と診断された。血清α-フェトプロテイン(AFP)値は8165.8 ng/mLと著明な高値を示していた。

    【DEB-TACEとフアイア抽出物の併用治療スケジュール】

    本症例はソラフェニブによる治療を拒否したため、代替治療として局所療法と生理活性成分の併用が選択された。2016年9月9日から2017年8月22日にかけて、ドキソルビシンを担持した薬剤溶出ビーズ(CalliSpheres® microsphere)を用いた肝動脈化学塞栓療法(DEB-TACE)が計3サイクル実施された。

    これと並行して、生理活性成分であるフアイア抽出物(Huaier)が1回20g、1日3回(計60g/日)の用量で毎日経口投与された。このフアイア抽出物による治療は、完全奏効が確認された後も継続され、2019年7月まで約34ヶ月間にわたり維持された。

    【腫瘍マーカーの劇的低下と完全奏効の達成】

    最後のDEB-TACE治療から8ヶ月後(初期治療開始から19ヶ月後)の2018年4月における評価において、治療効果が確認された。ダイナミック造影MRIにおいて肝内腫瘍および右腎静脈・下大静脈内の腫瘍栓は消失し、胸部CTでも多発性肺転移巣の消失が認められた。

    同時に、著明な高値を示していた血清AFP値は8165.8 ng/mLから正常範囲内である1.7 ng/mLへと低下した。mRECIST基準に基づき、本症例は完全奏効(CR)と判定された。

    【治療終了後の長期無増悪生存期間の維持】

    完全奏効を14ヶ月間維持した後の2019年7月に、フアイア抽出物の投与は中止された。その後も定期的な臨床検査および画像診断によるフォローアップが継続された。

    治療中止から18ヶ月が経過した最終観察時点(初期治療開始から54ヶ月以上)においても、腫瘍の再発を示す臨床症状や画像所見は認められなかった。初期治療開始からの全生存期間(OS)は54ヶ月以上に達しており、良好なQOLを維持しながら生存中であることが確認されている。

     

    獣医療への応用可能性と専門的考察

    【臨床現場での活かし方】

    本症例で示された知見は、犬や猫の切除不能な進行性肝細胞癌における補助療法の選択肢として極めて示唆に富んでいる。特に外科的切除が適応外となる多中心性や後大静脈浸潤を伴う症例に対し、局所塞栓療法とフアイア抽出物の併用は、生存期間の延長に寄与する可能性がある。

    犬猫におけるカテーテル治療は技術的制約が大きいものの、低侵襲な局所コントロールとしてのDEB-TACEは有用と考えられる。また、生理活性成分であるフアイア抽出物を併用することで、全身的な抗腫瘍免疫の活性化や微小転移の抑制が期待される。

    【既存治療との比較】

    進行性肝細胞癌に対する従来の標準治療である分子標的薬(ソラフェニブなど)は、高血圧、消化器毒性などの副作用が発生するる。これに対し、DEB-TACEは抗がん剤を局所に徐放するため、全身性副作用を最小限に抑えることが期待される。

    さらに、フアイア抽出物は重篤な副作用を伴わずに長期投与が可能であるため、高齢や合併症を持つ伴侶動物において、QOLを維持しやすいという利点があるとされる。局所療法と生理活性成分の組み合わせは、既存の全身化学療法に代わる新しい選択肢となり得る。

    【研究の限界(Limitation)と批判的吟味】

    本研究は単一のヒト症例報告であり、エビデンスレベルとしては限定的であるため、そのまま犬猫の臨床に一般化することは困難である。また、フアイア抽出物が肺転移巣を消失させた詳細な分子生物学的メカニズムや、DEB-TACEとの相互作用については未だ十分に解明されていない。

    さらに、犬猫におけるフアイア抽出物の安全性、薬物動態、および至適用量は確立されていない。今後の臨床研究の蓄積が求められる。

    読者のためのミニ用語集

    • 薬剤溶出ビーズ肝動脈化学塞栓療法(DEB-TACE):抗がん剤を吸着させた高分子微小球(マイクロビーズ)を肝動脈に注入し、腫瘍の栄養血管を塞栓すると同時に、局所で抗がん剤を徐放させる治療法。
    • フアイア抽出物(Huaier):学名Trametes robiniophila Murrという薬用キノコから抽出された生理活性成分。多糖類を主成分とし、腫瘍血管新生の阻害や免疫調整作用を持つとされる。
    • 肉眼的血管侵襲(RV-IVCTT):肝細胞癌が進行し、腎静脈や下大静脈などの大血管内に腫瘍栓を形成して侵入した状態。極めて予後不良とされる。
    • mRECIST(modified Response Evaluation Criteria in Solid Tumors):固形がんの治療効果判定基準(RECIST)を、造影効果を持つ生存腫瘍の縮小率に基づいて評価できるように改変した基準。


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    本資料は動物医療関係者向けの学術的参考情報です。一般飼い主向け広告ではなく、特定の疾病に対する診断、治療、予防または効果を保証するものではありません。本品は動物用医薬品として承認されたものではありません。無断転載・転送・一般飼い主への配布を禁じます。