【症例】脾臓の間質肉腫のトイプードル
症例提供:神奈川県内 動物病院(獣医師)
巨大腫瘍と癒着を伴う高悪性度の脾臓間質肉腫の症例に対し、脾臓摘出手術後に消炎剤とフアイア糖鎖TPG-1を併用し、QOL維持を目指した症例。
フアイア給与概要
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給与量 |
給与期間 |
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2倍量 |
20日間〜 |
症例基本情報
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品種 |
トイプードル |
| 年齢/性別 | 9歳10ヶ月/ 避妊雌 |
| 体重 | 2.7kg |
| 初診日 |
2026年6月20日 |
| 主訴 | 2026年5月頃からの間欠的な嘔吐、腹部膨満 |
| 既往歴/背景 |
特記事項なし |
症例概要
【検査・診断】
初診時の血液検査にてCRP 1.6mg/dl、腹部超音波(エコー)検査およびX線検査にて右上腹部に巨大な腫瘤を確認した。肝臓と脾臓の判別が困難なほどの巨大腫瘤であったため、二次診療施設にてCT検査を実施し、腫瘍の発生部位が脾臓であることを特定した(サイズ 11.2×6.3×6.0cm)。Day7に脾臓摘出手術を実施したところ、激しい癒着と複数回の出血痕が認められたが、腹腔内リンパ節や他器官への転移は確認されなかった。病理組織検査の結果、有糸分裂指数が視野あたり46個と極めて高い「脾臓の間質肉腫(高悪性度)」と確定診断された。

▲摘出時の写真


▲CT検査所見:脾臓を原発とした腫瘤が確認された。

▲病理検査所見
【課題の特定】
癒着を伴う巨大な腫瘍であり、かつ有糸分裂指数46個という高悪性度の難治性腫瘍であるため、術後の再発・転移のリスクが極めて高い。飼い主が抗がん剤による化学療法を希望しなかったため、身体的負担の大きい治療を回避しつつ、術後のQOLと活力を維持し、良好な予後を目指せるかが本症例における喫緊の課題であった。
治療経過・併用戦略
標準治療:
Day7に脾臓摘出手術を実施し、Day9に退院。Day14に抜糸を行った。消炎剤(NSAIDs)としてロベナコキシブ約1.0mg/kg SIDの投薬を開始した。なお、術後の追加補助療法としての抗がん剤については、飼い主との相談の結果、身体への負担や本犬の負担軽減を最優先に考慮し、実施しない方針が決定された。
独自の工夫:
外科手術および標準治療に加え、病理結果が判明したDay20よりフアイア糖鎖TPG-1を治療に組み込んだ。高悪性度(有糸分裂指数46個)に対する再発・転移の抑制及び自己免疫の活性化を目的とし、2倍量(2〜3倍量推奨)での給与を開始している。
維持期:
「消炎剤」および「フアイア糖鎖TPG-1」を中心とした非侵襲的な集学的管理を計画した。フアイア糖鎖TPG-1の併用により、高悪性度腫瘍の進行や加齢に伴う免疫状態の低下を下支えし、副作用や日和見感染のリスクを最小限に抑えることで、家庭内における一般状態の安定とQOLの最大化を目標とした。
臨床経過・データ推移
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Day |
WBC |
RBC |
PLT |
ALB |
CRP |
身体検査所見・画像・病理所見 |
治療内容(薬剤等) |
フアイア糖鎖 |
備考/状態 |
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0 |
9,500 |
6.82 |
56.6 |
3.6 |
1.6 |
間欠的嘔吐、腹部膨満 |
なし |
- |
血液検査実施 二次診療施設へ紹介 |
|
5 |
11,800 |
6.41 |
53.4 |
3.0 |
- |
ニ次診療施設にてCT検査実施 |
なし |
- |
腫瘍部位を脾臓と特定(11.2×6.3×6.0cm) |
|
7 |
9,200 |
6.62 |
64.3 |
- |
- |
外科切除実施 |
脾臓摘出手術、PT:7.5s, APTT:8.8s, Fib:504mg/dL |
- |
手術成功、転移なし |
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9 |
15,400 |
5.71 |
72.3 |
2.9 |
- |
術後経過良好 |
GPT 106 U/L, BUN 11.7 mg/dL, CRE 0.46 mg/dL |
- |
退院 |
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14 |
7,600 |
6.11 |
91.7 |
2.9 |
2.9 |
創部経過良好 |
ロベナコキシブ約1.0mg/kg SID |
- |
抜糸実施 |
|
20 |
- |
- |
- |
- |
- |
活力・食欲良好、体重(2.7kg)も術前レベルに回復 |
病理:有糸分裂指数46個 |
2 |
フアイア糖鎖TPG-1給与開始 再発転移抑制目的 |
【変化の要約】
初診時には腹部膨満と間欠的な嘔吐が認められ、術直後(Day9)にはWBC 15,400/μL、GPT 106 U/Lと炎症や肝数値の一時的な上昇がみられたが、抜糸時(Day14)にはWBC 7,600/μL、GPT 41 U/Lへと正常化・安定化した。また、術後に低下した体重(2.7kg)も元に戻り、QOLは良好である。Day20からのフアイア糖鎖TPG-1(2倍量)給与開始後も良好な活力と食欲を維持している。
考察
治療のポイント:
癒着を伴う高悪性度の脾臓肉腫に対し、CT検査を用いた術前診断と外科的摘出を行ったことがポイントである。さらに、術後も消炎剤による標準治療とフアイア糖鎖TPG-1の早期導入を計画的に実施している点である。
併用による相乗効果:
フアイア糖鎖TPG-1は、腫瘍そのものや、身体への負担の重い治療によって低下した免疫状態を調節する機能が期待される。免疫力を維持することが、結果として感染症や下痢などの日和見感染の予防に寄与し、今後の良好な状態につながると考えられる。
結語
難治性悪性腫瘍の術後管理において、今回のアプローチは、QOLを確保する上で一つの選択肢となり得る可能性がある。今後は症例の状況を確認し、予後を確認することが重要になるが、一つの治療選択肢として、さらなる知見の蓄積を進めていく。