【症例】脾臓の間質肉腫(未分化肉腫)のオーストラリアンシェパード
症例提供:神奈川県内 動物病院(獣医師)
高悪性度の脾臓間質肉腫に対し、摘出手術後に抗がん剤・消炎剤とフアイア糖鎖TPG-1を併用し、術後も安定したQOLを維持している症例。
フアイア給与概要
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給与量 |
給与期間 |
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1〜2倍量 |
30日間〜 |
症例基本情報
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品種 |
オーストラリアンシェパード |
| 年齢/性別 | 10歳/ 避妊雌 |
| 体重 | 20kg |
| 初診日 |
2026年6月15日 |
| 主訴 | 夕方からの急な虚脱、血腹(腹部膨満・preショック状態) |
| 既往歴/背景 |
特記事項なし |
症例概要
【検査・診断】
初診時の身体検査にて血圧100/66mmHg、血液検査にてCRP 4.1mg/dLを認めた。腹部X線および超音波(エコー)検査にて右上腹部に13×8.5×8cmの巨大な腫瘤および血様腹水を確認し、脾臓腫瘍破裂によるpreショック状態と診断した。
一晩の安定化処置の後、翌日(Day1)に脾臓摘出手術を実施した。術中所見では、腹腔内リンパ節の腫脹や肝臓への転移は認められなかった。病理組織検査の結果、有糸分裂指数が視野あたり36個と極めて高い「原発性の脾臓間質肉腫(未分化肉腫、高悪性度)」と確定診断された。一般的な指標として平均生存期間は2ヶ月程度とされる非常に厳しい病態である。

▲摘出した脾臓

▲病理組織
【課題の特定】
腫瘍破裂に伴うショック状態からの離脱後、高悪性度かつ予後不良が危惧される難治性肉腫に対し、限られた治療選択肢の中で再発・転移を抑制しつつ、化学療法に伴う有害事象(骨髄抑制や消化器症状など)を最小限に抑え、在宅における良好なQOLと活動性の維持を図ることが本症例における治療戦略上の主な課題であった。
治療経過・併用戦略
標準治療:
Day1に脾臓摘出手術を実施し、Day3に退院。Day15に抜糸を行った。消炎剤(NSAIDs)および血管新生抑制を目的としてカルプロフェン 2.5-3.0mg/kg SIDの投薬を開始した。また、術後の補助化学療法として、Day19にカルボプラチン(208mg/m² CRI)の投与を実施した。
独自の工夫:
外科手術および標準治療に加え、Day3よりフアイア糖鎖TPG-1を治療に組み込んだ。病理結果待ちの期間は1倍量で開始し、高悪性度(有糸分裂指数36個)が判明したDay15以降は、より強力な再発予防および免疫サポートのために2倍量へと増量し、2〜3倍量の継続給与を推奨している。
維持期:
「抗がん剤」「消炎剤」「フアイア糖鎖TPG-1」を行った。フアイア糖鎖TPG-1の追加は腫瘍や治療によって落ち込みがちな免疫状態を改善・維持することを目的としている。本療法の併用により、抗がん剤投与に伴う骨髄抑制(好中球減少等)や免疫低下による随伴症状(感染症や下痢等)の軽減を図り、限られた時間内においてもQOLの最大化を目指すことを目的とした。
臨床経過・データ推移
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Day |
WBC |
RBC |
PLT |
ALB |
CRP |
身体検査所見・画像・病理所見 |
治療内容(薬剤等) |
フアイア糖鎖TPG-1の給与量 |
備考/状態 |
|
0 |
17,600 |
9.96 |
30.3 |
2.7 |
4.1 |
急な虚脱、血腹 |
一晩の安定化処置 |
- |
preショック状態 |
|
1 |
15,900 |
7.99 |
27.5 |
2.3 |
>7.0 |
外科切除実施 |
脾臓摘出手術 |
- |
手術成功 |
|
3 |
22,700 |
8.95 |
37.5 |
2.5 |
- |
一般状態安定、退院 |
GPT 53 U/L, BUN 16.4 mg/dL |
1 |
退院 |
|
15 |
14,900 |
8.08 |
66.3 |
2.9 |
0.6 |
創部良好 |
抜糸 |
2 |
CRP正常化(0.6) |
|
19 |
- |
- |
- |
- |
- |
一般状態良好 |
カルボプラチン(208mg/m² CRI)投与 |
2 |
補助化学療法実施 |
|
26 |
10,400 |
7.97 |
68.0 |
- |
- |
便が少しゆるめ程度 |
経過観察(カルプロフェン継続) |
2 |
WBC・PLT安定 |
【変化の要約】
初診時には脾臓腫瘍破裂による血腹およびpreショック状態であったが、迅速な手術と術後の処置により全身状態は回復した。CRPは初診時:4.1mg/dL、術直後:>7.0mg/dL、抜糸時:0.6mg/dLへと正常化へ推移した。また、Day19の抗がん剤(カルボプラチン 208mg/m²)投与から1週間後(Day26)の検査においてもWBC 10,400/μL、PLT 68.0万/μLと骨髄抑制等の明らかな副作用は見られず、安定した活力と良好なQOLを維持している。
考察
治療のポイント:
平均生存期間が約2ヶ月とされる極めて高悪性度の脾臓間質肉腫(未分化肉腫)に対し、脾臓腫瘍破裂からの的確な外科手術、化学療法、消炎剤を組み合わせた早期介入を実施している。
併用による相乗効果:
フアイア糖鎖TPG-1は、腫瘍そのものや、身体への負担の重い治療によって低下した免疫状態を調節する機能が期待される。免疫力を維持することが、結果として抗がん剤の副作用軽減や日和見感染の予防に寄与し、現在の良好な状態につながっていると考えられる。
結語
難治性悪性腫瘍の術後管理において、今回のアプローチは、QOLを確保する上で一つの選択肢となり得る可能性がある。今後は症例の状況を確認し、予後を確認することが重要になるが、一つの治療選択肢として、さらなる知見の蓄積を進めていく。