【症例】特発性および細菌性膀胱炎の日本猫
症例提供:神奈川県内 動物病院(獣医師)
特発性および細菌性膀胱炎を頻発する日本猫に対し、既存治療とフアイア糖鎖TPG-1を併用し、再発が減少し良好な経過が認められた症例。
フアイア給与概要
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給与量 |
給与期間 |
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1/4倍量 |
約7日間 |
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1倍量 |
685日間〜 |
※補足事項:Day1057の給与開始初期に2倍量で開始後、下痢(泥状便)が認められたため、一時的に1/4倍量へ調節を行った。
泥状便の解消を確認した後に維持量である1倍量へと変更し現在まで良好に継続中である。
症例基本情報
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品種 |
日本猫 |
| 年齢/性別 | 推定14歳/ 避妊雌 |
| 初診日 |
2020年4月2日 |
| 主訴 |
頻尿および血尿の反復 |
| 既往歴/背景 |
元々ストレスに弱い体質であり、2020年春頃に同居猫が増えたことによるストレス環境の変化が発症の契機となった。特発性膀胱炎、細菌性膀胱炎、ストラバイト結晶、軽度の腎数値上昇の病歴がある。 |
症例概要
【検査・診断】
Dya589の健診時、尿検査にて細菌性の膀胱炎およびストラバイト結晶が確認された。
また、Day817に血液検査を実施し、腎数値(BUN、Cre、SDMA)の軽度上昇が認められた。これらにより、ストレス起因の特発性膀胱炎から派生した細菌性膀胱炎、および初期の慢性腎臓病と診断をした。Day1743に定期健診時の尿検査では、若干の球菌と貪食細胞が認められたものの、症状は落ち着いている。
【課題の特定】
Day0〜1035頃にかけて、頻繁に血尿や頻尿といった膀胱炎症状を繰り返しており、従来の療法食やサプリメントだけでは再発を完全に防ぐことが困難な状態であった。
高齢(推定14歳)であることや性格も考慮し、通院負担や薬の副作用を避けながら、根本的な体質改善により膀胱炎の再発をコントロールできるかが、本症例における課題であった。
治療経過・併用戦略
導入期:
Day0の発症当初は特発性膀胱炎として治療を開始した。Day652の血尿頻発時には療法食(c/dコンフォート)を導入し、尿路環境の安定を図った。
調整期:
Day817に腎数値の軽度上昇が確認されたため、食事を「早期腎臓サポート」へ切り替え、腎機能ケアとしてベラプロストナトリウム(1錠 / SID)を開始した。
翌月には下部尿路ケア目的でサプリメント(ウロアクト)も追加したが、その後もDay1055まで細菌性膀胱炎の再発が見られた。
維持期:
全身の免疫サポートを目的として、Day1057よりフアイア糖鎖TPG-1の併用を開始した。
初期の軟便に対しては給与量を1/4に調整することで乗り越え、その後1倍量での維持に成功している。現在に至るまで再発はなく、非常に安定した状態をキープしている。
臨床経過・データ推移
|
Day |
フアイア糖鎖 |
体重 |
BUN |
CRE |
SDMA |
UPC |
膀胱炎症状・検査所見・治療内容 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
0 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
頻尿。特発性膀胱炎として治療を開始。 |
|
260 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
頻尿。膀胱炎が再発 |
|
589 |
- |
3.0 |
32.9 |
1.42 |
- |
- |
頻尿再発。細菌(+)、ストラバイト結晶(+)。初期治療 |
|
652 |
- |
2.96 |
- |
- |
- |
- |
血尿。腎数値上昇に伴う治療方針の調整。 c/dコンフォートへ変更 |
|
665 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
血尿。特発性膀胱炎として治療 |
|
817 |
- |
2.82 |
27.7 |
1.90 |
15 |
<0.1 |
腎数値軽度上昇。ベラプロストナトリウム(1錠SID)開始、早期腎臓サポートへ変更 |
|
833 |
- |
2.9 |
25.3 |
1.74 |
- |
- |
血尿。ウロアクト開始 |
|
1008 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
頻尿・若干の血尿。細菌性膀胱炎として治療 |
|
1055 |
- |
3.05 |
- |
- |
- |
- |
頻尿。細菌性膀胱炎として治療継続 |
|
1057 |
2 → 1/4 → 1 |
2.96 |
26.2 |
1.44 |
13 |
<0.1 |
症状は改善傾向。 |
|
1169 |
1 |
2.9 |
27.7 |
1.27 |
11 |
<0.1 |
- |
|
1274 |
1 |
2.88 |
25.4 |
1.31 |
12 |
<0.1 |
- |
|
1364 |
1 |
2.92 |
26.5 |
1.25 |
13 |
<0.1 |
- |
|
1456 |
1 |
2.8 |
27.3 |
1.07 |
13 |
<0.1 |
- |
|
1546 |
1 |
2.8 |
28.9 |
1.20 |
10 |
<0.1 |
- |
|
1645 |
1 |
3.05 |
26.5 |
1.20 |
12 |
<0.1 |
- |
|
1743 |
1 |
3.0 |
26.1 |
1.06 |
12 |
<0.1 |
膀胱炎の再発なし。検査間隔を3ヶ月に1回へ延長可能に。体調良好 |
|
1840 |
1 |
2.82 |
23.2 |
1.00 |
9 |
0.11 |
- |
|
1925 |
1 |
2.82 |
23.4 |
1.06 |
6 |
<0.1 |
- |
|
2008 |
1 |
2.9 |
26.1 |
1.17 |
10 |
<0.1 |
- |
|
2114 |
1 |
2.8 |
25.9 |
1.04 |
10 |
<0.1 |
- |
|
2197 |
1 |
2.78 |
27.4 |
1.06 |
10 |
<0.1 |
- |
【変化の要約】
Day 0 〜 1055頃までは数ヶ月おきに血尿や頻尿を繰り返していたが、フアイア糖鎖TPG-1の給与を開始したDay1057から症状が安定した。給与初期の軟便も給与量調整によって改善し、その後は1倍量で無理なく維持できている。腎数値(BUN、CRE、SDMA)も長期間にわたり安定した数値を維持しており、推定14歳でありながら活力を維持しており、尿検査の間隔を3ヶ月に1回へと延ばせるほど健やかな外観・状態を保っている。
考察
治療のポイント:
ストレスに極めて敏感な猫において、環境変化による特発性膀胱炎から細菌感染、そして腎数値の悪化へと波及していくケースであった。本症例において治療が功を奏したのは、ベラプロストナトリウムや療法食による「腎臓・尿路への対症的なケア」の土台作りと、フアイア糖鎖TPG-1による「全身的な免疫・体質サポート」を介入させたことで、慢性的な炎症と再発のサイクルを根元から断ち切れた点にあると考えられる。
併用による相乗効果:
従来の療法食や下部尿路サプリメント(ウロアクト)のみではコントロールが困難であった膀胱炎に対し、フアイア糖鎖TPG-1の併用後は再発を認められなかった。
また、給与開始初期にみられた消化器症状は、一時的な減量(1/4倍量)を行ったことでその後問題なく経過を見ることができている。
一方で、そのほか環境の変化や体質の変化などの二次的要因がかかわっている可能性も示唆されるため、今後のさらなる知見の蓄積が必要となる症例である。
結語
本症例は、ストレスを感じやすく投薬や通院自体が負担になりがちな高齢猫の再発性膀胱炎に対して、フアイア糖鎖TPG-1の併用が通院頻度の減少(QOL向上)に貢献した好例である。
同様に再発を繰り返す特発性・細菌性膀胱炎に悩む飼い主様にとって、新しい選択肢をもたらすアプローチであると言える。