【症例】慢性腎臓病のダックスフンド
症例提供:岐阜県内 動物病院(獣医師)
急性腎不全の発症後に慢性腎臓病へ移行し、標準治療にフアイア糖鎖TPG-1を継続併用し、最終的に高いQOLを長期間維持した症例。
フアイア給与概要
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給与量 |
給与期間 |
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1倍量 |
644日間以上 |
症例基本情報
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品種 |
ダックスフンド |
| 年齢/性別 | 13歳(初診時)/ 避妊雌 |
| 初診日 (急性腎不全発症確認日) |
2025年3月7日 |
| 主訴 | 食欲廃絶と嘔吐 |
| 既往歴/背景 |
皮膚腫瘤(2024年9月発見)、 |
症例概要
【検査・診断】
Day0の血液検査にて、BUN: 80.3、Cre: 2.08(Ref. BUN 9.2〜29.2mg/dL、Cre 0.40〜1.40mg/dL)の値を確認した。そのほか臨床症状を加味して、「急性腎不全」と診断し、その後の継続的な治療を経て「慢性腎臓病」のステージへと移行した。
なお、本症例は急性腎不全発症前の皮膚腫瘤確認時から、フアイア糖鎖TPG-1を活用していた。
【課題の特定】
高齢であることから、併発している重度歯周病への積極的な処置(全身麻酔下での歯科処置)を行うことは、腎臓へ負担をかけるリスクがあった。
急性腎不全発症後、Day360に両顎上犬歯の重度歯周病が認められていたため、腎臓への負担を最小限に抑えながら口腔内の不快感を取り除き、QOLと食欲を維持できるかが課題であった。
治療経過・併用戦略
導入期:
急性腎不全の発症後は、飼い主様による自宅での皮下点滴、食事管理(手作り食の指導)による標準治療を実施し、慢性腎臓病の管理へと移行した。投薬治療として、テルミサルタンは当初2mg/kg SIDで開始したが、経過中にカリウム値の上昇(Day171時点でK: 6.6)が認められたため、Day173より1mg/kg SIDへ減量して継続した。その他、ネフガード(途中でコバルジンへ変更)、ベラプラストナトリウム1T BID,カリナールコンボ1杯を併用した。
調整期:
Day360の歯科処置を行う際には、全身麻酔の代わりに鎮静処置をおこなうことで、全身麻酔のリスクを回避しながら抜歯とスケーリングを実施するアプローチを行った。
維持期:
最終的な目標は、血液検査の数値を追うことだけでなく、食欲・元気などの一般状態を確認しながら、QOLの向上に主眼を置いた。歯の処置により全身への炎症負荷が減ったことも示唆され、安定した状態の維持を目指した。
臨床経過・データ推移
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Day |
フアイア糖鎖 (倍量) |
体重 (kg) |
BUN |
Cre |
治療内容(薬剤等) |
備考/状態 |
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2024.9.25 |
1 |
5.8 |
- |
- |
フアイア開始 |
皮膚腫瘤を確認。 |
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0 |
1 |
5.6 |
80.3 |
2.08 |
テルミサルタン開始 |
急性腎不全発症。 |
|
61 |
1 |
5.5 |
125.5 |
2.84 |
テルミサルタン |
一時的な数値の悪化あり。 |
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360 |
1 |
4.8 |
102.9 |
1.58 |
血液検査は前日に実施 鎮静下(MMB)抜歯・スケーリング |
重度歯周病治療。 |
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379 |
1 |
4.7 |
102.6 |
1.40 |
継続管理 |
口鼻腔瘻が若干縮小。 |
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470 |
1 |
4.2 |
- |
- |
他院へ引っ越しのため転院 |
体重は減少したものの、食欲は出ており |
【変化の要約】
急性腎不全発症後、BUNが140を超えるような一時的な数値の悪化は見られたものの、点滴と標準治療・フアイア糖鎖TPG-1の継続給与により状態は徐々に落ち着きを見せた。Day360の鎮静下での抜歯処置後は、口腔内の違和感や膿性鼻汁といった症状が改善し、活気を取り戻している。
最終的に体重は減少傾向にあるが、自力で食事をとり、元気な歩行が維持されている。
考察
治療のポイント:
高齢および慢性腎臓病による麻酔リスクが高い症例に対し、無理な全身麻酔を避け「鎮静での歯科処置」を選択したことで全身麻酔のリスクを避けつつ、重度歯周病がもたらす全身への炎症性負荷を軽減できたと推察される。
併用による相乗効果:
急性腎不全の状況から慢性管理へ移行し、慢性腎臓病をコントロールする上で、手作り食(東洋医学アプローチ)とフアイア糖鎖TPG-1の継続的な併用が、犬自身の基礎体力や免疫力の底上げに寄与した可能性が示唆される。
一時的な数値悪化を乗り越え、最終的に高い食欲と活動性を維持できていることは、この併用療法による相乗効果であると示唆される。
結語
シニア期の慢性腎臓病疾患において、リスクの高い外科処置を一律に諦めるのではなく、最小限の負担(鎮静)で感染源(歯周病)をコントロールし、同時に食事療法やフアイア糖鎖TPG-1などの補助的な治療選択肢を加えていくことで全身状態を支えるというアプローチは、犬のQOLを維持するための一つの選択肢になると示唆される。