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【症例】慢性腎臓病および潰瘍性口内炎の雑種猫

症例提供:岐阜県内 動物病院(獣医師)

慢性腎臓病・潰瘍性口内炎に対し、フアイア糖鎖TPG-1の段階的な併用および増量アプローチを行いQOLの維持が認められた症例。

 

フアイア給与概要


給与量

給与期間

1/3倍量

477日間

1倍量

340日間〜(継続中)

 

症例基本情報


品種

雑種猫(白)
年齢/性別 13歳(初診時)/去勢雄
初診日 2021年12月19日
主訴 多飲(初診時)、口元の自傷・出血および食欲低下
既往歴/背景 右口腔粘膜mass(生検の結果、腫瘍ではなく潰瘍性口内炎と診断)、
FIV/FeLVは不明

 


症例概要

    【検査・診断】 

    水をよく飲むとの主訴で受診し、血液検査にてBUN: 40.4、Cre: 2.51(Ref. BUN 17.6〜32.8mg/dL、Cre 0.9〜2.1mg/dL)を示し、そのほかの臨床検査所見から慢性腎臓病(CKD)と診断された。
    その後、加齢とともに腎不全が進行し、右口腔粘膜に直径1.5cmの自壊を伴う腫瘤が形成された。鎮静下での一部切除および病理検査を実施した結果、腫瘍ではなく「潰瘍性口内炎」であることが確定診断された。

     

    【課題の特定】

    慢性腎臓病の進行に伴う継続的な体重減少(3.65kgから2.5kgまで減少)に加えて、重度の潰瘍性口内炎による痛みや自傷(口元を引っ掻くことによる出血)、それに伴う食欲低下が課題であった。また、体重と状態を維持するために点滴、ステロイド、抗生剤の頻繁な投与が必要となっており、飼い主様の負担となっていた。

     

    治療経過・併用戦略

      標準治療:
      慢性腎臓病のベース治療として、テルミサルタン( 1mg / kg SID )や療法食を開始した。その後、数値悪化に伴いマイメジン( 1包 )を追加したが、内服困難により状態が悪化したため、プロネフラ® ( 4mL BID)へと変更し安定を図った。
      口内炎の悪化時や食欲廃絶時には、皮下点滴に加えてステロイドと抗生剤の投与による対症療法を実施した。

      独自の工夫:
      難治性口内炎による激しい痛みや自傷行動の改善、そしてステロイド・抗生剤治療への依存を軽減するため、免疫調節を期待してフアイア糖鎖TPG-1の併用を開始した。状態を見極めながら1/3倍量から導入し、最終的に1倍量へ調整をしている。

      目標設定:
      ステロイドや抗生剤治療の回数を減らすことを目的として治療を組み立てていった。口内炎をコントロールし自発的な採食を促し、体重の増加について確認を進めていった。最終的に穏やかな日々を長く過ごせるようQOLの向上を目指した。


      臨床経過・データ推移

       

       

      Day

      フアイア糖鎖

      TPG-1の給与量

      (倍量)

      体重(kg)

      概要

      治療内容(薬剤等)

      BUN

      Cre

      0

      -

      3.65

      多飲。CKDと診断

      テルミサルタン開始

      40.4

      2.51

      635

      -

      2.85

      嘔吐あり。CKD悪化(P: 7.0)

      マイメジン追加

      61.1

      3.33

      715

      -

      2.65

      CKD再悪化(P: 9.3)

      プロネフラ®へ変更

      69.7

      -

      834

      -

      2.8

      左口角のただれ出現。
      CKDの症状は安定

      -

      41.4

      2.67

      845

      1/3

      2.5

      口元を引っ掻き出血、食欲低下

      フアイア開始

      -

      -

      855

      1/3

      2.5

      右口腔粘膜mass(直径1.5cm)自壊。
      腎数値は落ち着く

      口腔粘膜mass一部切除・病理検査

      28.9

      1.92

      1321

      1

      -

      対症療法を繰り返して体重を維持していた時期

      フアイア増量

      点滴、抗生剤、ステロイドを症状発現時、実施

      -

      -

      1613

      1

      2.6

      増量後、通院回数が激減し安定

      対症療法の頻度が減少

      -

      -

      1643

      1

      2.45

      体重減少、食欲低下傾向。

      必要時のみ皮下点滴+ステロイド+抗生剤

      -

      -

      1661

      1

      2.6

      少し流涎はあるが食欲はあり。
      潰瘍は落ち着いている。

      フアイア継続

      -

      -


      【変化の要約】

      フアイア糖鎖TPG-1を1倍量へ増量したDay1321以降、それまで頻回に必要だったステロイドや抗生剤の注射・点滴のための通院回数が減少した。
      Day1643では一時体重が2.5kgまで落ち込み食欲低下傾向が見られたが、Day1661の受診時には体重が2.6kgに回復した。少し流涎は見られるものの、自発的な食欲は維持されており、口腔内の潰瘍も落ち着きを見せている。外観や活力に飼い主様が変化があったと報告がなされた。

       
      ▲Day855の口腔内所見             ▲現在の口腔内の所見 

       

      考察

      治療のポイント:
      重度の慢性腎臓病を背景に持つ難治性の口内炎に対し、対症療法(ステロイド・抗生剤・点滴)のみに依存し続けるのではなく、全身の免疫調節を鑑みてフアイア糖鎖TPG-1を導入・増量を行っている。基礎疾患(腎疾患)の悪化を防ぎつつ、QOLを下げる口内炎の症状のコントロールができたことが良好な推移をたどるポイントといえる。

      併用による相乗効果:
      初期は口内炎の痛みに伴う自傷行動や食欲廃絶に対して影響が少なかったかもしれないが、ステロイドや抗生剤の使用頻度を減らすことができた。さらに直近の経過では潰瘍そのものが落ち着きを見せており、長期的な免疫調節作用が発現していると考えられる。これにより、長期的な薬剤投与による副作用のリスクを回避しつつ、腎臓や全身への負担軽減にも繋がったと考えられる。
       

      結語

      慢性腎臓病末期における重度の潰瘍性口内炎は、動物の栄養状態を悪化させる併発状態である。本症例のように、ステロイドや抗生剤の頻回処置で状態を一時的に持たせるしかないようなケースにおいて、フアイア糖鎖TPG-1の併用および増量アプローチは、長期管理の選択肢の一つと示唆された。

      本資料は動物医療関係者向けの学術的参考情報です。一般飼い主向け広告ではなく、特定の疾病に対する診断、治療、予防または効果を保証するものではありません。本品は動物用医薬品として承認されたものではありません。無断転載・転送・一般飼い主への配布を禁じます。